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今日から色付く日々となる

新世界樹が発表されましたが、自分はまだよくわからない感じです。とりあえずななぞじ楽しみ。

二月下旬に拍手よりメッセージを頂きましたありがとうございます!ご好意に甘えてお返事はこれだけ。

さてさてハッピーエイプリルフール。世界樹3三周年おめでとうございます。
4の話を練るだけ練って書き出すタイミングを窺っていたら、四月一日にみた夢で若パイと白姫がいちゃついてました。
その夢を自分なりに介錯して文章化したので、載せます。
らくがきちょういきが相応しい簡易らくがきですが、まあ四月馬鹿なので。

パイ イサキ 毎度おなじみへたれ若パイ。襲われる 
プリ テトラ 毎度おなじみ男前白姫。襲う

内容がちょっとあれかもしれません。



 待て、一旦落ち着こう。
 パニックを起こして次々と流れ乱れる思考の中で、ぽつりと落ちた冷静な声。そうだ、その通りだ。その声に則ったイサキは目を瞑り、指を折るように少しずつ、ひとつずつ、現状の理解を図る。
 いつ。いつといえば、今この時間。現在のこの状況が過去か未来で起きたのなら、ここまで混乱しなかったのか。否、発生さえしてしまえばどの時間軸でも同じかもしれない。
 どこで。船の上で。航海を終えたばかりのアタラクシアの点検も兼ねて、今日も今日とて乗り込んだ。ここ数十日はずっと船の上で過ごしている。今日に限っては出港していないが。
 誰が。瞼の向こうにあるであろうテトラの顔が脳裏に浮かんだ。人物はイサキを含めて二人だが、この場合は彼女を指すだろう。
 何を。俺を。
 どのようにした。どのようにしたって、そりゃあ。一度停止してこれ以上進みたがらない思考を、無理やり動かす。どのようにしたって、そりゃあ、捕まえたんだ。
 ――何故?

 気が付いた時には、鎖で手首を括られていた。鎖は帆柱の周りにぐるりと巻かれているらしく、動けたとしても柱の表面を辿るのが関の山、どう考えても捕らわれの身だった。厄介な連中に捕まったのかと自身の油断を悔いてみるが、今いる場所は紛うことなく愛しのアタラクシアで、では仲間内の仕業かととりあえず悪趣味な眼鏡親父を疑ってみれば、現れたのは天海がひっくり返っても自分の味方をしてくれそうな生涯の相棒。
 おいおいこれはどういうことだ待て一旦落ち着こう、と視界を閉ざしぐるぐると頭を働かせているうちに、足に体重が掛かるのを感じた。瞼を開けると、伸ばした自分の足にテトラが腰を掛けている様が見えた。
 その横顔は酷く悩ましげで、琥珀の瞳は潤みいつもより光っているよう。理性を揺るがす表情に対し、両手の不自由をほんの少しだけ感謝した。
「……あのさ、テトラ。あんまり聞きたくないんだけど、一体どういうつもりだ?」
 ぶしつけな質問への反応は、顔をこちらに向けるだけ。正面で見据えて改めて伝わる悲哀の感情。これでは怒るに怒れないどころか、なりゆきも聞けないではないか。イサキはため息を零し、攻め方を変更する。
「何か、悩んでるなら相談に乗るから、とりあえず放してくれない? これでも結構疲れててさ、点検終わったらさっさと寝たいんだよ」
 テトラはやはり沈黙を貫く。だが思うところはあるらしく、イサキのシャツを弱々しく握り締めるとその胸に自身の頭を預けた。ふわりと鼻をくすぐるシャンプーの香り。頭の中がばちばちと火花を飛ばした、やばいやばいやばい。
「……私だって、情けないと思っている」
 ようやく発した声色は、震えていた。彼女のあらゆる言動が、内に秘めた恐怖心を表している。イサキは眉を顰め、続きに耳を傾ける。
「お前が私を置いて海に出て何日経った? お前がいない間、待っているというのは時間が遅く流れるばかりで、しかし他のことにも力が入らない。依頼は途中で待機令が出され、採取へ赴く際も採取班から心配された始末だ。それだけじゃない、好んで食べていたケーキもまるで味がしなくなるし、夜だってろくに眠れなくなってしまった。そのうち、船が事故にあったらどうしようなんて考えるようになってしまい、もう、どうしようもなくなったんだ。私にはお前が必要だ。分かりきっていた事実を、改めて強く実感したんだ。本当に、お前がいない日々は、生きた心地がしなかった」
「――ああ、うん」
 中身のない返事を零しながら、首を傾げる。これは彼女の病状であってイサキが求めていた答えではない。
 頭を撫でてやろうにも手は塞がれていて、今はおとなしく胸を貸すしかできない。半ば勝手に使われ、あげく奪われている形だが。
「置いていったのは悪かったよ。でもさ、どうしてこんなことしてるのかは、分からないんだけど」
「すまない、私のエゴだ」
「いや、それは分かってるんだけど」
「お前のそばにいれなかった反動だ。私には、お前が足りない。だから、こうして、一緒にいたい」
「とりあえず解放して、それから存分に埋め合わせするっていうのは駄目か?」
「目を離した隙にどこかへ行ってしまうかもしれない」
「行かないって」
「お前の意思など関係なしに、その時が来るかもしれない」
「俺の意思とか言うのなら、せめて片腕だけでも外してほしいな」
「すまない、イサキ」
 テトラらしからぬ、弱い声色で呟く。胸から持ち上がった面が宿す表情は、悲哀と恐怖に、それと少しの決意が色づかれていた。
「だが、今だけは私のわがままに付き合ってくれ。お前が足りなかった分、お前で私を満たしてほしい」
 ――物凄いことを言われた気がする。
 ワンテンポ遅れた危機感は、シャツに手を掛けられることでより一層濃厚になる。頭の中で鳴り響いた警鐘は、しかし覚悟以外に意味を持たなかった。
 せめて、せめて片腕だけ自由なら、震える頭を抱きしめてやれるのに。
 悲しそうに自分に迫る彼女は、自分のことで精一杯なのだろう。だがこちらが切羽詰っていることにも気が付いてほしかった。
 今となっては、もう手遅れだが。





自分のことに付き合わせるのが申し訳ないけど、嫌がられるのが怖いテトラ。
どうせ好き放題触られるなら、せめて自分からも触りに行きたいイサキ。
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2013年04月01日 | Comments(0) | Trackback(0) | 文章(Ⅲ)
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